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意思決定なき分析と調査の積み重ね(最終回)

 前回まで経営者が成さなくてはならない仕事として、会社として
目指すべきゴールを示すということを述べてきました。そのゴール
が魅力的であり、また達成のために「こうすればこうなるはずだ」
という論理が確立され社員と共有できたとき、不確実な未来におい
て目指すべきゴールが設定できたことになり、社員のモチベーショ
ンのスイッチがはいります。
 その際数値は結果論であり、施策(どのようにして目標数値を達
成するか)の方が重要な意味を持ってきます。その施策は各部門・
各職位に役割分担され進捗管理されることによって組織としてのマ
ネジメントサイクルが回り始めます。
 このようにみてくると、目的なき調査や分析は経営資源の無駄遣
いであり、それ以上に大切なのは「わが社の使命を果たすためにな
にをなすべきか」という経営に対する意思であり、その意思決定に
トップ陣で取り組める体制であるといえるでしょう。(福島光伸)

意思決定なき分析と調査の積み重ね(第3回)

 未来が見えない中で目指すべきゴールを仮説設定するということ
は大きな勇気が要ります。しかし、わが社の目指すべきゴールを示
すということはトップしかできません。不安だから、確信がないか
らといってそれを示さない限り、社員は目的・目標の分からない暗
闇にただ一生懸命船を漕ぐことになります。そのような会社の症状
として共通する特徴は、社員は不安感と徒労感に包まれ、積極性を
喪失し、考えることを放棄して目先の無難な課題だけに取り組むよ
うになります。また、そのような会社の経営者に限って、「うちの社
員はやる気がない」と嘆きます。
 ではこのような状況下において、目指すべきゴールを仮説設定す
るために必要なポイントとは何でしょうか。もちろん意思決定のた
めの調査や分析は必要です。それなくしてはまったく根拠のない「勘
と経験と度胸」の意思決定になってしまいます。しかしポイントは
その調査や分析をベースにして幹部とともに、わが社の使命、わが
社の事業、提供すべき価値・創出すべき価値からわが社の近未来に
おいて実現すべき姿を検討することです。その中からやるべきこと、
やらなくてはならないことが見えてきます。それがわが社の将来の
方向性です。つまり、わが社の将来の方向性は、調査や分析の彼方
にあるのではなく、「わが社の使命を果たす」という意思の中にこそ
あるのです。(福島光伸)

意思決定なき分析と調査の積み重ね(第2回)

 ある会社の中期経営計画書には、自分たちが置かれている市場環
境・市場規模の過去の推移と将来予測、また自社のSWOT分析が
見事に成されていました。お聞きしましたら、コンサルタントを入
れ幹部の合宿にて分析し、策定したとのこと。調査や分析の苦労の
後が見えました。
 しかし、その中期経営計画書では分析の後にいきなり飛んで、年
度ごとの売上予測と意気込みが書かれているだけです。つまり「分
析という手法が目的になっている」ということです。前回記しまし
たように、すべての手法はあくまでもわが社の将来方向を意思決定
するための手段であって、目的ではありません。
 このように将来が見通せない時代において、将来の方向性を仮説
設定する不安感解消のためには分析や手法を繰り返し展開したい気
持ちは分からなくもありません。しかし、トップ陣として最も重要
なのはわが社の将来方向に対する意思決定なのです。
その意思決定のためのポイントについては次回お話させていただ
きます。(福島光伸)

意思決定なき分析と調査の積み重ね(第1回)

 多くの会社の中期経営計画・年度経営計画などを拝見すると将来
の方向性を見極めるための手法として、数々の分析手法が取り入れ
られています。
 市場規模などの分析はもちろん、強み (Strengths)、弱み
 (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)から戦略方
向を探ろうとするSWOT分析、Customer(顧客)、Corporate(自
社)、Co-Operator(協力者)、Competitor(競合相手)の4つの”C”
の関係において分析していく4C分析、Product(製品)、Price(価
格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)から見ていく4
P分析など多種多様な分析手法が取り入れられ、われわれも知らな
い手法があったりします。
 しかし、考えてみるとこれらのすべての手法はあくまでもわが社
の将来方向を意思決定するための手段であり、どのような優れた手
法であっても、新しい手法であっても、「自動的」に会社の方向性を
決めてくれるものではありません。今回は、分析手法におぼれてし
まっている会社の事例とその原因、また分析手法をツールとして意
思決定するためのポイントを考えていきます。(福島光伸)